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はじめに

自閉症の子どもたちには、偏食のある子どもが多くみられます。その要因は、口腔内の感覚過敏や、同じものへのこだわりや変化に対する不安等、子どもによってそれぞれ異なります。

偏食に対する対応に関して、食べることができなくても生活に支障がないという考え方もあります。しかし、栄養のみならず子育て全般において家庭生活への支障となる場合も見られ、対応や偏食に対するサポートが必要です。

実際、小児科診療の中で「お口に入れて、経験させてあげるとうまくいくよ。」「おやつをなくしてみては?」「食卓には食べられないものでも出しておきましょう」「お弁当は温めてみては?」等、一般的なアドバイスをしてきましたが、それぞれの子どもにあった対応は現実的には難しい状況でした。
 

一方、平成16年にスタートした児童発達支援センターなぎさ園では、毎日通園する子どもたちの給食の場面で、栄養士を中心に調理員・保育士・言語聴覚士等様々なスタッフが自閉症の食の課題に取り組んできました。その取り組みの中で、栄養士の藤井葉子氏は「揚げ物の端っこを食べている。ハンバーグをカリカリに焼いて子どもの好みにしてみては?」「千切りだと食べる?」といった給食場面での子どもの観察と気づきから、様々なチャレンジを行い、口腔感覚対応食を作り、子どもたちに提供し、効果を上げてきました。

 

また、実践を積み重ねる中で、子どもたちの発達や摂食傾向、偏食の改善の過程に一定の傾向がある事がわかってきました。そして、その傾向をつかむことで早期に支援をスタートすることもでき始めました。子どもたちがおいしく食べる様子は、保護者・スタッフを勇気づけ、さらなる改善に挑んでいる状況です。まだまだ工夫がいるものの、今回のレシピは、子どもたちの発達や摂食傾向に合わせた調理の工夫を中心に、食生活全般にかかわる支援の内容をまとめたものです。
 

保護者の方々をはじめ、様々な場面で自閉症の食生活の支援にかかわる方々へ何らかの参考になれば幸いです。

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